広島地方裁判所 平成元年(わ)181号 判決 1989年9月05日
本籍
山口県大島郡東和町大字伊保田三六八番地
住居
広島県東広島市西条町大字西条東一〇五〇番地
会社役員
宮原喜一郎
昭和一九年四月二七日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官森川大司出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一〇月及び罰金三〇〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、自己所有の広島県東広島市西条町大字下三永字午王曽原七三四番の八四所在の原野四二一一平方メートルを売却し、多額の売買益を得るなどしていたものであるが、その所得税を免れようと企て、遠隔地の銀行に他人名義の普通預金口座を設定し、その口座に売却代金の大部分を振込送金して右土地の売買益が他人に帰属するよう仮装する等の不正な方法により、所得を隠匿した上、昭和六二年分の実際の総合課税の所得金額が、二二六万二三七四円、分離課税の雑所得金額が一億九五二一万一四五〇円あったにもかかわらず、同市西条昭和町一、四二七番地の一所在の所轄西条税務署において、同税務署長に対し、同年分の申告期限である昭和六三年三月一五日までに所得税の確定申告書を提出しないで右期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の所得税額一億二〇一八万八六〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書一四通
一 吉村光、中山秋広の検察官に対する各供述調書
一 原田勇(検16号)、鈴木智枝子、木村佳史こと李佳史、神田恒治、小堺武男の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書、収入金額調査書、土地取得費調査書、仲介手数料調査書、土地測量費調査書、土地整地費調査書、雑費調査書、利子所得調査書、雑所得調査書、源泉徴収税額調査書
一 登記官作成の不動産登記簿謄本四通
一 検察事務官作成の報告書(検22号)
一 検察事務官作成の電話聴取書(検74号)
(法令の適用)
一 判示事実
所得税法二三八条一項(懲役に罰金を併科することとし、罰金額につき同条二項を適用)
二 労役場留置
刑法一八条
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 横山武男)